Mixed By Derrick May × AIR

僕は、デリック・メイ氏と会って話したことがあります!

って言うと非常に大袈裟ですけど、実際の話は以下の通り。

数年前に、いまはもう無い渋谷のシスコレコードに僕はレコードを買いに来ていました。

あの店は商品棚の横で店のもっとも奥に店員等だけが入れるブースがあったのですが、

僕は一心不乱にレコードを物色するあまり相手の顔も見ずにレコードを手に取り、「これの試聴盤ありますか」と

ぶっきらぼうに渡したのですが、なんとびっくりしたことにそこにデリック・メイ氏がいたのですよ!

作り話のような話ですがこれがマジ。最初すぐに本人か判断がつかずに戸惑いました。

完全に困惑した僕ですが、さらに困惑するような行動をその後デリック・メイ氏がとったのですよ。

店員を演じたんですよ!大仰な仕草で「イッツ・クール・レコード」みたいなこと言いながら!

だいたい「これの試聴盤ありますか」なんて日本語が通じていたとは思えないのに。

なんという状況判断力!

実際何故そこにデリック・メイ氏がいたかというと、ちょうどパーティ出演があって来日していて、

音楽誌の取材や撮影をしていたそうな。

僕は「ごめん、ちょっと今取材中だから」と編集者っぽい人に注意されてしまいました。

そして買って店を出たわけですけど、こんなチャンス二度とは無い!と思いました。

何故かというとちょうどその時オーガナイザーをしていて、僕らがやってたフライヤーを店においてもらっていたのです。

だから店に戻りご迷惑を承知でフライヤーにサインしてもらいました。

凄く好意的にしてくれました。編集者は迷惑だと思ったでしょうけど。

握手してくれた手がでかくて厚かった。

その前からも、それから今までも、一番愛しているといっても良いかもしれない音楽家かもしれません。

そんなデリック・メイ氏が13年ぶりのミックスがこれでありマス。

Heart Beat Presents Mixed By Derrick May(TRANSMAT from DETROIT)× Air(DAIKANYAMA TOKYO)

Heart Beat Presents Mixed By Derrick May(TRANSMAT from DETROIT)× Air(DAIKANYAMA TOKYO)

コンピューターに頼らず「生」でミックスした作品。

「生」というところに素朴さが伺えて、聴いていてとても高揚するしどこか優しさのようなものがあったりするのは映画で言ったら木村大作さんか!

少女の笑い声から始まるところもたまらない。

とにかく7あたりからが素晴らしいデス。

一年くらい前かな、ちょっと前にageHaに来日した時の話を。

彼は最後の出番だったのですが、前の人と替わる直前でフロア全体がスモークに覆われて周りが何も見えなくなるという粋な演出。

けど音だけでもはっきりデリック・メイ氏に交替したのがわかるというその個性って凄いと思いました。

途中少女合唱団のようなものの歌を延々続けながら同時にハウスのリズムを刻む名場面があるなどとにかく圧巻でしたけど、むしろその時よりライブ感があるかもしれません。

最近思うんですけど、情報過多な時代じゃないですか。

むしろそれ自体を否定しないですけど、僕もそのうちの一人なんだろうけど、どうでもいいことが垂れ流されて、スルーしたって構わないことに

ああだこうだ言ってる、そんな自分のことをまた振り返り見てバカバカしいと思うことが多々ありますよ。ないですか?

だからこういう、どこか背負ってる感じがヒシヒシある重みがあるものの味をじっくりゆっくり楽しむほうが良いよ。

木村大作さんもそうですけど、こういうハートの、どっか風格感じさせる男になりてえ、なんか僕って本当小せえって思いますもの。

映画も音楽も、何でも簡単に書いたり言ったりするのが惜しいコクや味、風格があるものってありますよね。とにかく凄い良いです。

その、元々限られた人間だけが持つ存在感もあって感動的。

補足

あと音楽関係ではジェームズ・ラヴェル、そしてジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンのドラマーのラッセルに、Tシャツにサインしてもらったことがあります。