退廃姉妹(島田雅彦)

退廃姉妹

退廃姉妹

青山真治監督、日本では表現が制約される…「退廃姉妹」映画化に海外出資を求める【第63回カンヌ国際映画祭

http://www.cinematoday.jp/page/N0024541

島田雅彦著「退廃姉妹」を読んだ。

島田氏の著書は初めて読んだのだけど、何でも彼は「サヨク」であるそうだ。

この本は戦中・戦後の話で、主人公は理知的な姉と行動的な妹。姉は理知的なんだけどあまりすぐ行動に移せる女性ではなく、妹に対してコンプレックスのようなものを抱いている。逆に妹はとにかく行動に出るタイプ。

そんな2人の姉妹が戦後、自宅で進駐米軍相手に体を売る商売を始めて、過酷な戦後の先に何を見つけるか。まあ、そんな小説でした。

これは良い小説で、スイスイ読まされた。

なんだろう。「ドライ」と言っては変かもしれないけれど、「戦争ってこのぉ!」みたいな沸点が上がってる箇所があんまりないんだな。そこが新鮮だった。

それで姉妹を主人公に、父と、ある2人の女性と、1人の男性。彼ら彼女らがうまく繋がってて、「あ!そういう展開になるんだあ」という連続だった。

ちなみに変な話、「この女性の中で誰がタイプ?」みたいな話もできそう。

ひとつ気になったのが、中盤の有希子の父に向ける感情の変化で、やや腑に落ちない箇所があったところかな。でもこれは再読すると変わるかもしれないし、僕が男性だからかも。女性で読まれた方に聞いてみたい。

上記の映画の件、荒井晴彦さんや青山真治監督が着目したっていうのは、物語の中に当時の映画産業が出てくるっていうのもあったのかな?いや、わからないけど。