退廃姉妹(島田雅彦)
- 作者: 島田雅彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/08/05
- メディア: 単行本
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島田雅彦著「退廃姉妹」を読んだ。
島田氏の著書は初めて読んだのだけど、何でも彼は「サヨク」であるそうだ。
この本は戦中・戦後の話で、主人公は理知的な姉と行動的な妹。姉は理知的なんだけどあまりすぐ行動に移せる女性ではなく、妹に対してコンプレックスのようなものを抱いている。逆に妹はとにかく行動に出るタイプ。
そんな2人の姉妹が戦後、自宅で進駐米軍相手に体を売る商売を始めて、過酷な戦後の先に何を見つけるか。まあ、そんな小説でした。
これは良い小説で、スイスイ読まされた。
なんだろう。「ドライ」と言っては変かもしれないけれど、「戦争ってこのぉ!」みたいな沸点が上がってる箇所があんまりないんだな。そこが新鮮だった。
それで姉妹を主人公に、父と、ある2人の女性と、1人の男性。彼ら彼女らがうまく繋がってて、「あ!そういう展開になるんだあ」という連続だった。
ちなみに変な話、「この女性の中で誰がタイプ?」みたいな話もできそう。
ひとつ気になったのが、中盤の有希子の父に向ける感情の変化で、やや腑に落ちない箇所があったところかな。でもこれは再読すると変わるかもしれないし、僕が男性だからかも。女性で読まれた方に聞いてみたい。
上記の映画の件、荒井晴彦さんや青山真治監督が着目したっていうのは、物語の中に当時の映画産業が出てくるっていうのもあったのかな?いや、わからないけど。