「5つ数えれば君の夢」(山戸結希監督作品)

主演 東京女子流

渋谷シネマライズ

舞台挨拶回

座席位置 真ん中中央

2回目

渋谷シネマライズ

トークショー

座席位置 真ん中左側


評点・・・☆☆☆☆ ダンゼン優秀!

山戸結希監督の映画を観るのは、前作「おとぎ話みたい」に続き2作品目である。「5つ数えれば君の夢」は、劇場に2度観に行ったが、まだ観たいと思っている。前作もそうだったが、山戸結希作品には不思議な「中毒性」のようなものがある。

前作と最新作で最も異なっているのは、前作が趣里という1人の美少女が主演だったのに対し、最新作は東京女子流という5人のアイドルグループが主演の群像劇になっていることだろう。

一度目に観た時に私はある思い違いをしていたことに気づかされた。「おとぎ話みたい」の聞き取り切れないほどの台詞量に、「愛のむきだし」を作っていた頃の園子温監督の影響下の世代なのではないかと感じていたのだ。それはまるで早合点だった。山戸結希監督は独学で映画を学んできた人間らしいが、本作品で新世代の個性派監督の一人として新境地を開いたと言える。

前作「おとぎ話みたい」と比べ静かなポエトリーのような言葉の応酬が映画全体にリズムを生みだし、独創的な映像美によって前述した「中毒性」をもたらしている。

文章が前後してしまったが、「5つ数えれば君の夢」は、女子校の学園祭までの日々を描いた、5人の少女が自意識と向き合う青春映画である。

「おとぎ話みたい」が1人の少女の葛藤を描いていたのに対し、最新作では5人の群像劇になったことが成功を生んだ。少女たちがぶつかり合うことでアクション性が誕生したのである。そして前作ではライヴシーンが弱いと感じたが、流石「過去作品は過去のもの」と発言する監督だけあり、この作品で「りこ」が突然ダンスをするシーンのスリルは観る者に驚きをもたらすだろう。

宙を舞うシャボン、降りしきる花びらが彼女達全てを肯定して止まない。東京女子流と同世代の女性が観たら価値観が変わるかもしれない作品である。

劇中で現代ポップカルチャー批評をしている点にも注目してほしい。