「百日紅 Miss HOKUSAI」(原恵一監督)

声の出演 杏他

テアトル新宿

座席位置 前方中央

評点・・・☆☆☆★★★ 上出来の部類


主催映画オフ会にて、原恵一監督「百日紅 Miss HOKUSAI」観ました。

私が長く続けてる映画オフ会、初のアニメーション。

そこまでアニメに詳しくない私。私の地元東久留米市が舞台の「河童のクゥと夏休み」という映画を作ったこともある、大好きな原恵一監督の新作を選びました。

世の中に、おそらくは天才というのは溢れるほどいます。けどそのほとんどは、発掘されないまま消えていくんだと思います。

原恵一監督は、世に見放されずに発掘された天才。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」が、あんなにアニメファンだけでなく映画ファンにまで熱烈な支持を受けなかったら、間違いなくここまで注目される存在にはならなかった。

あの作品以降、ハズレ作品ひとつも無しという正真正銘の天才。

「カラフル」を観た時、「一回実写映画やってほしいなあ」と思ったら本当に「はじまりのみち」という木下恵介オマージュの実写作品を撮って、それまでもが素晴らしかったです。

今回の新作は「葛飾北斎の娘」が主人公。もちろん、葛飾北斎のほうが有名なわけです。



だから言ってみれば、「世の中に発見された人物原恵一が、世の中には知られなかった人物を描いた」という意味でも注目。

出来は、大変素晴らしかったです!描く時期を一点に絞った通過儀礼的な物語で、上出来の部類。「原恵一作品にハズレ無し」の神話は健在でした。

新作を観て思ったのは、原恵一監督はおそらく「無駄」が大嫌い。

派手さは無くて極めて地味な映画ですが、無駄な説明、無駄なシーン、無駄なやり取り一切無し。映画として完全に研ぎ澄まされています。ディテールはメチャクチャ細かい。

それゆえ、映画も90分の尺におさまっています。

こういう題材を手がけても「まんが日本昔ばなし」にならないのは個性があることの証明。

子供向けでは決して無いし、かといって大人向けなのかもわからないんですが、公開規模絞ってるわけだし、もうファンがいるわけですからこれで良いんです。

いつか細田守監督みたいにデカイ作品手がけるのかもしれません。その時が本当に楽しみです。