愛に願うこと「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」

監督:根岸吉太郎
脚本:田中陽造
撮影:柴主高秀
原作:太宰治
音楽:吉松隆
出演:松たか子 浅野忠信
配給:東宝

基本的には積極的に観たいと思う映画しか観ないクチですが、「なんかヤな予感するな〜」と思いながら観に行くと宜しくないことが多いです。
逆に期待しすぎると肩透かしくらうこともあります。

けれどこの名前が並んだからには、期待も高まろうというもの。

 【映画がはねたら、都バスに乗って】
 「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」:巣鴨駅前バス停付近の会話
 http://blog.goo.ne.jp/ereninotabi/e/20b2ecfdb6cd415352e73e30043f88ad

こちらの方も書かれているように、まさにこれぞ映画と思わせるシロモノであります。

映画の客観的な評価は苦手なクチですが、ここまでだと高評価せざるをえません。冒頭浅野氏が走ってくるところを、焦燥感を増幅させるようにスローモーションにするところからしてタメイキもの。気合の入った濡れ場もアツイ!

各所で絶賛の、広末涼子さんと松たか子さんがすれ違う場面は言うまでもなく、この映画の重要な場面でもある口紅を塗った松たか子さんには、不思議とクリント・イーストウッド監督の「チェンジリング」で印象的だったアンジーの口紅を思い出しました。
この映画には「チェンジリング」ほどの完成度があったのですよ。観た後にジワジワくるものがある。

根岸監督は本当に女性を魅力的に描くことに長けてます。後姿が妙に色っぽい松たか子さんもさることながら、なんといっても広末涼子さんが素晴らしい。ぶっちゃけ広末さんが良いと思ったのなんて「子猫の涙」とこの作品くらいです(笑)

男性だと妻夫木氏演じる青年に惹かれる。

ヴィヨンの妻」をベースに様々な太宰作品カラーをまとめ上げ、さらに世界を広げた田中陽造氏の脚本も素晴らしい。詳しくはパンフレット等を参照のこと。

 みんなシネマいいのに!
 「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」
 http://cinemaiinoni.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-32a2.html

こちらの方が、「この映画はフジテレビが関係しているにもかかわらず、久しぶりに映画っぽい雰囲気の映画を観ることができた。」と仰られてますが、全くその通り。

キネマ旬報 2009年 10/1号 [雑誌]

キネマ旬報 2009年 10/1号 [雑誌]

キネ旬のこの対談でも監督がアマルフィとは製作過程が違うと言ってるんで、一概に同じようには語れないしそんなに業界事情に興味があるわけでもないんですけど。でもシロウト映画ファンみたいな僕が観ても撮影・編集・脚本・演技が全部大雑把な「アマルフィ」と同じフジテレビ関連とは信じがたいですよ。安定した映画の提供お願いしますよ、フジテレビさん。

原作読んでなくても問題ないので、お勧めの映画です。趣味関係無しに誰にでも勧められる映画はなんだと問われたら、本年では私的には「チェンジリング」とこの映画です。

パンフレット購入。結構いい情報が入ってて、一緒に観に行った友人とも話のツマになった。日本映画でパンフレット購入したのは「剱岳 点の記」以来。

映画と出会う・世界が変わる
ヴィヨンの妻−桜桃とタンポポ■日活ロマンポルノのひとつの到達点
http://plaza.rakuten.co.jp/cinemaopensaloon/diary/200911170000/

シンジの“ほにゃらら”賛歌
ヴィヨンの妻亀山千広の覚悟
http://runsinjirun.seesaa.net/article/131172045.html