沈まない邦画大作「沈まぬ太陽」

邦画の大きい作品としては自分の趣味を別にすれば、今年のベストにしている豪快な「剱岳 点の記」や、観た後ジワジワ味わいが増していく「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」あたりと賞をわけあうんじゃないかとも思える「骨太」な映画。

監督:若松節朗
脚本:西岡琢也
原作:山崎豊子
撮影:長沼六男
音楽:住友紀人
主演:渡辺謙
製作総指揮:角川歴彦
配給:東宝

キネマ旬報 2009年 10/15号 [雑誌]

キネマ旬報 2009年 10/15号 [雑誌]

  【映画がはねたら、都バスに乗って】
  「沈まぬ太陽」:千石一丁目バス停付近の会話
  http://blog.goo.ne.jp/ereninotabi/e/305d9dd8748365ea59f8948e5d40bd62

  みんなシネマいいのに!
  「沈まぬ太陽
  http://cinemaiinoni.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-1907.html
  
  いろにでにけり
  「沈まぬ太陽
  http://blogs.yahoo.co.jp/orchestraofangels/56459463.html


200分超えの映画。海外映画だと前後編二本に分けたのがありましたが、休憩を挟んでイッキで上映。

[rakuten:book:13206498:detail]

チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]

チェ ダブルパック (「28歳の革命」&「39歳別れの手紙」) [DVD]

今年は長時間の映画では「愛のむきだし」がありました。同じく休憩を挟んで一本で上映。「愛のむきだし」はもっと長かったと思う。

愛のむきだし [DVD]

愛のむきだし [DVD]

愛のむきだし」は、前半を振り落とされるようなスピード感で描き、休憩を挟んだ後あたりから後半は少しまったりとさせ、終盤に名場面を持ってくる計算高い圧倒的な映画でした。僕が観た映画館だけかもしれませんが、監督の意向による音の調整の気遣いもありました。

あと休憩を挟むほどではなくても、去年の「実録連合赤軍 あさま山荘への道程」なんかも長時間だった気が。具体的な時間は忘れましたけど。

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 [DVD]

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 [DVD]

「実録連合赤軍 あさま山荘への道程」は内容の重みもあり、かつ映画が三部構成(「冒頭のナレーションつき背景説明」→「山岳ベース」→「あさま山荘」)になってるのが利点で、これまたあっと言う間。

最近だと他にはなかったよな・・・あったらまあ後で書き加えます。

何でこんな話を書いたかと言うと、いくらシネコンがある時代とは言え、あまり長時間映画は回転が悪く映画館泣かせなんで、やるからにはよっぽど自信があるんだろうなあ、と思って観に行ったから。

かといって酷い出来だと、「途中で極力寝ない」「帰らない」をモットーにしている自分だと、かなりの拷問になるから、実際は期待半分・不安半分でした。

んで、冒頭からずーと「正攻法」な演出でビックリ。「え?これで200分もやるの?」と思ったくらい。

しかしあれよあれよと見入って、かなり良かった。亡くなられた山田辰夫さんは、また秀作に名を残したと思う。

狂い咲きサンダーロード [DVD]

狂い咲きサンダーロード [DVD]

この映画、脚本がいい。実にスムーズな物語になってました。脚本が「正攻法」な感じなんで、それに乗るように演技もみんな「正攻法」で演出も「正攻法」。脚本が設計図・映画の地図となってる印象。

私見(というかボクの好み)では、「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」の田中陽造氏、「のんちゃんのり弁」の鈴木卓爾氏と並ぶ今年のベスト脚本としたい。

こっから本題

  お楽しみはココからだ〜 映画をもっと楽しむ方法
  映画の脚本について考える
  http://otanocinema.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-861e.html
   
以前ボクがよく読ませていただいて情報ももらってるこちらのブログで、上記のようなエントリがありました。
最近の日本映画はとにかく脚本に問題点が多いと。

あまり粗探しをしない僕自身は若干つっかかるところはあっても、画面や演出のインパクトだとかはっきり個性が見えているような映画でも好きなのは、横のベスト10作品を見てもらうとおわかりいただけると思うんですが、きれいに物語が進んでいく脚本のほうがそりゃあいい。既に散々書いたんでもう言及しないけど、「アマルフィ 女神の報酬」の一件みたいな珍事も出るくらいなんで、もっと脚本について気にしなければいけないと思ってる。

まず「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」

私見(というかボクの好み)では、田中陽造氏の脚本の出来が素晴らしく、それに乗る形で根岸監督が登場人物の個性を引き出して、観賞後も一緒に観た友人と話がとまらなくなる奥行きのある素晴らしいものだった。

のんちゃんのり弁

まだ上映しているかわからないけど、あまり話題にならずボクが観に行ったときもそれほど賑わってなかったけど、映画自体が曲者喜劇ながら、これも優しくあったかいラストに向けて物語が爽快に走っていく私見(というかボクの好み)では、とても良い脚本だった。ちなみにこの映画の脚本を書いている鈴木卓爾氏は映画監督も俳優もやっている人だけど、偶然にも「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」に出演しています。

ちなみにインタビューで、緒方明監督も自らの映画についての脚本の重要性について語ってました。

キネマ旬報 2009年 10/1号 [雑誌]

キネマ旬報 2009年 10/1号 [雑誌]

映画自体が100点なんてあるはずもなく、必ず誰か「ちょっとこれは・・・」と思うものだと思ってるんで、上記の作品だって僕の好みでしかないんですけど。

あとここに挙げた映画は、どれもが原作もの。というより、最近僕が書いて褒めている日本映画は、大体原作ものばかりだったりする。

そして、「カムイ外伝