ガッカリ指数120「カムイ外伝」

監督:崔洋一
脚本:宮藤官九郎 崔洋一
原作:白土三平
撮影:藤澤順一 江崎朋生
音楽:岩代太郎
主演:松山ケンイチ
配給:松竹


だいぶ時間が経った。まだやってるかは知らない。公開前の評判も悪いと聞きつつ、世評をそこまで気にせず観たいと思う映画なら気にせず極力能動的に映画を観たいと思ってるタイプなんで観てはいたのですが、正直キツイ出来に閉口してしまい忘れようとしてました。だけどこういう映画ほど記憶に残るんですよね・・・並んでる名前が名前だけに、ショックはココ最近で一番大きかった。「カムイ地獄だな」って、そりゃこっちのセリフだ。

だけど今回書く機会だと思い書き残すことにしました。正直この名前が並んでる映画なので、きちんと言うべき映画だと思いましたよ。批判ではなく叱咤激励(?)という気持ちで書きたい。

たしかにこの映画、崔洋一監督の演出が信じられないほどダメでした。冒頭からして小動物が飛んでるのかと思ったし、海のシーンも最悪でした。テレビ画面で観ると気にならないかもしれないけど、映画館で観ると強烈。何でもいくらかトラブルがあったらしいけど、それが原因(多分違うけど)だったとしても、名うての監督なんでそこは対処しなきゃならなかったんじゃないかと思う。
どんな映画でも出来る監督なんてそうはいないし、こういう映画を作るのが向いてないなら、次回からキッパリ諦めて良いと思う。娯楽大作なんだから、黒澤映画ばり(?)に血をドビャー!とかやるとか、そういう工夫もあってもよかったと思う。娯楽映画らしくなってない。原作ファンが嫌がるかはわからないけど、少なくともこれより良かったんじゃないか。

ただ、それに加えて脚本がマズイ。共同脚本なんでどっちがどの程度手掛けてるかわからないけど、宮藤官九郎氏は才能を使い果たしてるなんてことになってほしくない。知名度がある人で今後も「ゼブラーマン2」「なくもんか」なんかが続くみたいなんで頑張って欲しい。

原作を読んでない僕からすると、あきらかに「壮大な話をまとめられませんでした」という感じでした。物語が「流れてない」。なんというかぶつ切り状態で、登場人物が唐突に出たり入ったり。あとキャラクターの描き方が中途半端で、例えば佐藤浩市氏とかただの変人(実際がそうなのかもしれないけど)にしか見えない。土屋アンナさんも、「アマルフィ」でいうところの大塚寧々さん状態だ。

・・・

話が長くなって逸れてきたのでまとめるけど、今の日本映画ってやはり原作ものをどう撮るかがとても重要なんじゃないかと思います。「笑う警官」「人間失格」「行きずりの街」「パーマネント野ばら」「ゴールデンスランバー」などなど、まだまだ続く。緒方監督は、原作ものをちゃんと撮れてこそ映画監督だとも言っている。

ちょっと前は「完全オリジナルが観てえよう」と言ってたけど、最近は秀作に原作ありきのものが多いし、やはり映画賞を取るとかかなりの知名度を誇る監督でもない限り、原作ありきでないと特に大規模では集客等つらいだろうとつくづく思うようになってきた。

まあだから上に引用した「お楽しみはココからだ〜 映画をもっと楽しむ方法」さんが書いている脚本家の重要性に付け加えるならば、いかに原作ものから設計できる脚本を書いて、そしてそこから監督が個性ある演出ができるかってことかな。よくよく考えたら「剱岳 点の記」だって小説じゃん。あとは大規模公開系なら多くの人を引き付ける風にして、ミニシアター系ならコアな人に訴えかけるとか。同じ太宰治でも「ヴィヨンの妻」と「パンドラの匣」はそういう作りが出てて楽しめたぞ!

だから長くなったけど、日本映画が好きなんだから頑張ってくれや!ってことだよ!あー、知ったかぶっちゃった!