映画を観る時期は影響する。「イングロリアス・バスターズ」

「わかってねえなあ」と言われればそれまでですが、「イングロリアス・バスターズ」は今ひとつで完全に不完全燃焼でした。観てからしばらく経ちましたが、もうオープニングと最終盤の上映会でのラストに写るアレくらいしか印象に残ってません。

その理由は何故か。

DVDで旧作を観ることよりも映画館に足を運んで新作を観ることを優先していると、どうしても自分の中だけである「決まりごと」のような自分だけの考えのような視点が生まれてくる。

それは、「最近観ている多くの映画に共通してみられる特徴は何か?」ということ。

加えてもちろん、映画誌やブログなどでも書かれる「最近の映画の兆候は時代の何を映してるか?」みたいなものもあるのですが、それよりも「最近観ている多くの映画に共通する特徴は何か?」というのは抽象的で、特に自分が観ている「映画たち」=「チョイス」と、「印象に残った映画」は殆ど自分だけのものなので、自分だけか、またはそう多くない人としか一致しない視点であると思います。

そういう前置きの上で、僕が思う「イングロリアス・バスターズ」の最大の不満点は、出てくる人間達の殆どに全く魅力を感じないということです。全員とは言わないけど、特にブラッド・ピット氏やイーライ・ロス氏などが演じる彼らには何1つ魅力を感じませんでした。

ここで前の話に戻ると、自分が最近映画を観ている上でもっとも気にしていること。
(こういうことは本当に人それぞれで、例えば狭い範囲の話であるけど例えば僕が気に入って読んでいる映画ブロガーには、脚本を重要視している人もいれば、今なぜこの映画が作られたのかを追求している人もいるし、映画的なものは何かということを考えている方もいて、非常に興味深い)

そこで僕にとっては、ほかにもいくつかあるのですけど、抽象的な言い回しとはいえずばりこれである。

「人間を、どれだけ想像させてくれるか」

これは前にも書いたように、今年は「グラン・トリノ」「レスラー」「扉をたたく人」などなど、そして日本映画では「剱岳 点の記」といったところに感じたのですが、”物語展開に新味が無かろう”が「今作られて観るべき意味」「それを補って余りあるエネルギー」、そして「人間への魅力」・・・そういったものをどれだけ見せてもらえるか、であります。

イングロリアス・バスターズ」に出てくる連中は、どれもこれもが薄っぺら過ぎないか?そこまでは言い過ぎでも奥行き感じないし、なんか押し付けがましい人間像を見せられた気がしてならない。つまり群像劇がまるで描けてないと思うんです。

もし仮に冒頭に書いたように「わかってねえなあ」と言われればそれまでで、「わかってない」のだけど。

タランティーノ監督の映画はそれでいいの。他に楽しむべき点がある」と言われたとしても、映画全体に勢いが欠けているので、どうしても他の視点が生まれるし、あと始めてタランティーノ監督の映画を観る人もしくは最近観始めた人はそういう「楽しむべき点」で新鮮な感覚で観れるだろうけど、そうじゃないので名前でハードルが上がってるし、同時に昔ほどの新鮮な感覚で挑めないんだね。

勢いが欠けてるために、もう一度観て再確認しようと思うほど引き付けられるものも無い。だったら、間違いなく新しい魅力も見つからないし教訓も得られないし人物に何にも味を感じなくても、強烈な勢いで場外ホームラン級の破壊力「スペル」のほうが、何回でも観たくなる。「イングロリアス・バスターズ」はなんだか変なプライドみたいなものを感じてしまい素直に笑えない。あとブラッド・ピット氏が後半のパーティ会場でああいうこと言うのって何が面白いのだろう?むしろなんかイラっときた。


それですっごい長く書いてしまって、読んだ人に「そういうオチかい!」って言われるだろうけど、じゃあ面白くも良くも無い映画だったか?と言われると、どうでもよかった映画は基本無視なのでそういうわけでもなくて、やはりそれはクリストフ・ヴァルツ氏には魅力は感じたってこと。ただこの人でてなきゃ相当辛かったかもしれない。まあでも多分僕の視点は完全な少数派だ。

 【映画がはねたら、都バスに乗って】
 「イングロリアス・バスターズ」:団子坂下バス停付近の会話
 http://blog.goo.ne.jp/ereninotabi/e/95d75e773d6f736e9fb77d3457d227ee

 みんなシネマいいのに!
 「イングロリアス・バスターズ
 http://cinemaiinoni.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-9c4f.html

 ★YUKAの気ままな有閑日記★
 イングロリアス・バスターズ
 http://blog.goo.ne.jp/taipo13rikipo9/e/5f6064bb8cb938f8a54a5f9ee579ebad

 シネマ親父の“日々是妄言”
 「イングロリアス・バスターズ」フィクションだよ!
 http://moricinema.exblog.jp/9370860/


監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
製作総指揮:エリカ・スタインバーグ、ロイド・フィリップ、ボブ・ワインスタイン、ハーベイ・ワインスタイン
撮影:ロバート・リチャードソン
出演:ブラッド・ピットメラニー・ロランクリストフ・ヴァルツイーライ・ロス
配給:東宝東和