新藤兼人 仕事に生きる

NHK 知るを楽しむ 人生の歩き方 新藤兼人 新藤兼人 仕事に生きる

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”日本インディペンデント映画の先駆者として日本映画を支えてきた新藤兼人。社会派監督が語る「仕事」とは何か?”

最近、映画監督・シナリオライター新藤兼人氏の本を読みました。最近読んだ本では一番良かったので書いておきたいと思います。

この本は、どうやら以前に新藤氏を追った教育テレビの番組があったようで、それを土台に書籍化したもののようです。そのためか新藤氏の言葉がわかりやすくとても読みやすい。

まああまり詳細にここに書いてしまうと、逆にこのブログを読んだ方が内容がわかって読む気がなくなるのも困るので詳しくは書きません。

自分が読んだ限りでは、この本は自分を含め新藤氏を昔から知らない人、つまり比較的若い世代のほうがより楽しめるかもしれない。「仕事に生きる」というタイトルもあるけれど、新藤氏くらいのキャリアゆえなのかこの本は新藤氏がほぼ人生を振り返るようになってる印象を受けました。

なので「ああ、あの映画に携わっていた頃の新藤は、確かにこうだったなあ」というかんじでは知らない人のほうが、先の事が気になりながら読めるんじゃないかと思います。まあ、僕はそうだった。

出だしは新藤氏が現在目指しているという「最後の映画」へのこだわりから始まる。ここでの話から察するに、あの戦争題材の映画に近い感じなのかな?

それからこれまでの映画界での出来事等を振り返ってるわけです。

ただ僕が読んでいて最も感銘を受けたのは、新藤氏の人生というよりむしろ氏が語る映画観。テレビと映画の違いや映画の根源的魅力、シナリオの重要性とはどういう点かとかプロデューサーについても少し触れられたりなど、なかには改めて言われてみると当たり前過ぎることもあるのですが、やはりこういうことは忘れかけてしまうこともあるし、新藤氏に言われると簡易な言葉でもかなりの説得力がある。

こういう点でも、どちらかというと年期の入った映画ファンより、僕を含めどちらかというと若い人向けに書かれている気がする。

逆に新藤氏をかつてから知っている方々なら、やはり溝口健二監督や乙羽信子氏についてのことが書かれている箇所なんかにグッとくるのかも。なぜかというとやはり新藤氏くらいになると、やってきた仕事を全て個別に語るのはさすがに無理らしく、そういう本にはなってません。その中でもっとも自分が読んでて印象に残ったのは溝口健二監督との出会いの部分でした。結構ここは重要に書かれてます。

最初のほうにも書きましたが、文章がわかりやすく伝えられてます。これはやはり脚本家だからそういう言葉で語るのが上手いのかな。難しい本ではないので、興味がわいたら気軽に手にとってみてはいかがかと。

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