食堂かたつむり

予告編が良さそうだったのと、余貴美子さん、志田未来さん、満島ひかりさん目当てで観賞。

主演は、かつては映画でも傑作「GO」でキュートな魅力を振りまいて、「メゾン・ド・ヒミコ」などの佳作と言えるものもあるのに、それ以上に明確な駄作出演が多すぎて現代日本映画界の負の部分の中心人物として語られている印象がある柴咲コウ氏。たまにネット上のレビューを読んでも頻繁に柴崎コウと書き間違えられています。

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この文章の表題のとおり、去年の沖田修一監督の佳作「南極料理人」ならぬ「田舎料理人」といったところで、柴咲コウ氏は失恋ショックで失言症になり
おっぱいの形をした山があるいなかで店を開店し料理人を始めるわけです。

まず良いと思った点を書いておくと、相変わらず主役をくわない程度に見事な存在感を放つ余貴美子氏が凄くいい。

同じく出演している三浦友和氏、岸部一徳氏や樹木希林氏などと並ぶ貴重な役者です。

あと柴咲コウ氏は、どちらかというと表情の変化には乏しい役者かなと思っていたけど、失言症という難役をうまくこなしていたような気がします。

なんだか仏頂面な人間を披露する役が多かった印象があったので、まア久しく魅力を見せていたかな、と。

あとは「歩いても 歩いても」や「南極料理人」ほどではなくても、なかなか食材や料理が魅力的に映しだされるところは良点。観た後お腹が空きました。

歩いても歩いても [DVD]

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南極料理人 [DVD]

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ただ映画自体はよろしくない点が多い。

なんとなく部分的な中島哲也監督風の演出と、どことなくペドロ・アルモドバル監督風色彩が全編にわたり披露されるのですが、これが逆に映画を停滞させてしまってます。

別に中島哲也監督作品の場合はその演出自体では映画は停滞させていないはずなのに、なぜかこの監督の場合は映画が途中で寸断されてしまっています。

とくに部分的に登場する、絵本の縁を意識したようなあの演出はそこで停滞させていると思います。

あと僕は映画には多少のスキは認めるものの、展開自体も明らかに説明不足な点が見受けられます。

特に後半のあの場面に満島ひかりさんまでもがいるのは明らかにおかしいです。

始めて聞いた名前の新人監督ですが、そこらへんを改善してほしい。

前から思ってることですが、予告編を作る天才が絶対いますよね。

採点=☆☆★★ 篤志家だけどうぞ

池袋テアトルダイア

原題:食堂かたつむり  日本映画

監督:富永まい

脚本:高井浩子

撮影:北信康

主題歌:ポルノグラフィティ

出演:柴咲コウ 余貴美子

原作:小川糸

製作: 木下泰彦 島谷能成 畠中達郎 重村博文 氏家夏彦 百武弘二 坂井宏先 村松俊亮 宮路敬久 辰巳隆一 倉田育尚 林尚樹 松田英紀 大宮敏靖 喜多埜裕明

エグゼクティブプロデューサー: 三宅澄

ラインプロデューサー: 森太郎

公式サイト:http://katatsumuri-movie.jp/

配給:東宝