花のあと

珍しく観てすぐに感想。

何でも今年は(今年も?)日本映画は時代劇が多いらしいです。阪本順治監督、平山秀幸監督、三池崇史監督などなど名のある監督たちも控えているんだとか。

そんな中で、「青い鳥」の中西健二監督の新作は、藤沢周平原作の時代劇。

青い鳥 [DVD]

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これが久方ぶりの真っ向時代劇な、老若男女問わずおススメできる観賞後感が気持ちいい秀作!

美術を駆使したりして風格を出す時代劇というよりは、むしろ言葉づかいや細かい仕草で時代劇らしさを強調してるといったところでしょうか。

ぶっちゃけ、単語の意味がわからないというところもあるにはあったのですが、不思議にもそれでも物語には付いていける。

情感溢れる光を使った演出も健在。全体的に人物を撮る際に妙にアップが多い気もしたけど、まあ主演が美人ということも含め特別気にもならなかった。

その主演の以登を演じるのは、北川景子氏。

観る前から何となく予想はしていたけど、彼女は時代劇で主演を演じるには顔立ちがあまりに現代的美人といった感じ。

ただこれが剣士になると、時代は違えと牛若丸な感じでこれがイカしてます。

なんでも半年間様々特訓したとかで、所作や殺陣がかなり巧い。

自分は原作未読なんですが、もしかすると映画になって新たに生まれた以登像なのかもしれませんな。

共演は、宮尾俊太郎氏や甲本雅裕氏、市川亀治郎氏や佐藤めぐみ氏、柄本明氏、國村隼氏、そんで「青い鳥」にも出演していた伊藤歩氏なんですが、

全員見事なまでに物語に活かされていることに驚かされた。

宮尾俊太郎氏という方を始めて聞きました。ダンサーらしい。

この中でもやっぱり市川亀治郎氏と國村隼氏は特に見事だなあ。

ちなみに自分は大概そんな感じで、情報量無しで映画を観ることが多いんですが、この映画はとくにあまりよく知らずに観に行ったほうが
良いやも。

全体的に語り口が静かなことが、逆に功を奏して中盤以降の展開には驚き。「まさか!」と「なるほど!」という両方。

それ以降に関しては、以下点数とクレジットのあとで触れます。

点数=☆☆☆★★

T-JOY 大泉

原題:花のあと  日本映画

監督:中西健二

脚本:長谷川康夫 飯田健三郎

撮影:喜久村徳章

音楽:武部聡志

主演:北川景子

語り:藤村志保

原作:藤沢周平

公式サイト:http://www.hananoato.com/

製作:川城和実 尾越浩文 亀山慶二 遠藤義明

配給:東映

ここから詳細に触れます。


勘解由に罠にはめられ孫四郎が自害するといった展開は、語弊はあるかもしれないけれどさながら当時の「いじめ」といった赴きで
時代劇版「青い鳥」のようでなるほど!と思いました。

非モテ」と言っては失礼な好漢なのですが、その後冴えない「非モテ」っぽい甲本雅裕氏演じる許嫁が、「縁の下の力持ち」「能ある鷹は爪を隠す」な男子の魅力を静かに発揮し、現代の「非モテ」たる僕は、男子ってかくありたい!と思わされ、ひたすら感動させられた。優しい余韻に包まれた。

自分は小さいのお、こうありたいと思った。

非モテ」に希望を与えられ、かつ鞭を入れられた気がしてグッときた。やっぱり日本映画はあったかいのがいいね。自虐的な気にさせられる映画より

こういうほうが好きです。

男性受難の時代 非モテ! (文春新書)

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