冷たい雨に撃て、約束の銃弾を(ジョニー・トー)

新宿武蔵野館

復仇 VENGEANCE 香港 フランス映画

監督・製作:ジョニー・トー

脚本・製作:ワイ・カーファイ

出演:ジョニー・アリディ アンソニー・ウォン ラム・カートン ラム・シュ サイモン・ヤム他

撮影:チェン・シウキョン

音楽:ロオ・ターヨウ

http://judan-movie.com/

配給:ファントム・フィルム

☆☆☆★★★

ジョニー・トー監督の新作アクション・ドラマ。

監督は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の審査のために訪れた際にこんなことを言ったらしい。

”1本の映画で色々なことを語ろうとしすぎる映画が多い。私の尊敬する黒澤明監督の「七人の侍」はあれだけの名作だが、プロットは3行で説明できる。描きたいことが複数あるなら、また次の映画を作ればいい。”

多作のジョニー・トー監督だからこそ説得力がある言葉だ。その哲学でこの映画を語ると、「人との絆で命をはれるか。」「己のポリシーを貫けるか」そして「記憶を失くした男に復讐の意味はあるのか」。こんなところだろうか。

僕はてっきり「既に記憶を失った男が復讐する。」、そんな映画かと思って観に行ったら違った!

ちなみにもともとアラン・ドロン氏主演の企画があったものの頓挫した経緯があり、そこからジョニー・アリディ氏主演のこの映画が完成するという結果に至ったようだ。ジョニー・コンビで響きが良い。

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僕は最近太った。まあ平均的にみればまだ肥満の部類には入らないのだけど、お腹のあたりにシマリが無くなってきた。

まあ歳をとったのか、なかなか運動しても落ちないんだけど、まあ仮にデブになるのなら、ラム・シュ氏みたいなデブにならなっても良いね。この映画でも散々デブデブ言われているけど。

アンソニー・ウォン氏も相変わらずシブい。ワインを持つだけで映画にロマンティシズムを与えるその唯一無二の個性。

ところでドア・チェーンの場面には驚いた!マネしないけどね!

あと、なんかピーター・ジャクソン監督の「ラブリーボーン」のお株を奪う(!?そんなことないか。)精神世界的描写があ

ったのにはさすがに唖然とした!しかしこういう表現も直球なんだなあ。

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それにしても本当に、スコープサイズの魅力を発揮しまくった映画だ。

月下の森での銃撃戦。ジョニー・アリディ氏が走るところを真正面のアップからとらえたショット。

草原での少数対多数の銃撃戦。紙が舞い散る美しさ。

終盤でキーパーツとなる、コートを投げた際の映像まで、見事に画面を活かしきっていて魅了される。

ただただひたすら、映画の映像だなあ。

ビルの階段の銃撃戦で、アンソニー・ウォン氏がさりげなく礼儀を心得てるカットがあったり、こういうところも笑わせてくれるなあ。

というか、これだけ大銃撃戦が続くのに、きちんと細部に理論を通してるところには拍手。

しかし、まあこの映画は極端だけど、僕はどれだけ、僕なりの筋を通せてるだろうか。友情や愛情といった絆も大切にしていると言える自信は無い。

ラストはひたすら優しい。

帰り道はジョニー・アリディ氏の歩き方を真似たぜ。レ・フレール

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