「春との旅」の演出意図を想像する

前述したように、小林政広監督の「春との旅」は、個人的にはいまひとつだった。

その理由は、キャメラワーク・編集・演出面にあると書いたわけだ。

http://d.hatena.ne.jp/tanipro/20100527

ほとんど「相性」の問題と言って良い。

ただ同時に、決して駄作とは思わない。何か引っ掛かりが残る映画だ。

なので僕なりに演出意図を探ってみることにした。しかし恐らくは監督との意図とは合致していない。つまり僕の思い込みである。でも映画なんてそんなもの。人は映画を好きなように観る。でもやっぱり演出面にこそ、監督の個性や意図が強く反映されるわけだしな。

ただ途中から退屈していたのであまり集中力が持続せず、ちょっと細部の記憶に誤りはあるかもしれません。

冒頭、仲代達矢氏と徳永えり氏が登場する場面。いきなりキャメラは遠い。

同様に2人が風景の中を歩く場面は、基本的にキャメラは遠い。

食事や、例えば旅館内など、基本的に2人だけで室内にいる際は、近くに寄っていた気がする。

ここがまず特徴だった。次に

1.大滝秀治氏・柄本明氏が登場する場面では、かなり遠くから撮影してる。

2.逆に田中裕子氏・淡島千景氏・香川照之戸田菜穂両氏のそれは近い。

1の人たちとは、若干喧嘩気味である。2の人たちとはそうでもない、と思う。

つまり人間関係の距離感なんだろうか。

特に戸田菜穂氏と仲代達矢氏のツーショットの近さといったら驚く。

ただこう考えると腑に落ちない点がある。

仲代達矢氏と柄本明氏が揉め会う場面では、かなりキャメラが寄るのだ。

次に特徴的なのは、小林薫氏だ。

たしか上斜めからのアングルのショットで、やはり距離を持って撮られていた気がする。

この撮影は他の場面にもあり、仲代氏が疲れたと不貞腐れて、それに対して徳永氏が呆れる場面だ。

屋外だからだろうか。よくわからない。

でもやっぱり、人間と人間の狭間にある距離感や、ふたりと社会との狭間にある距離感ないしは孤独感を、キャメラワークで表現している、ような気がする。

まあ、色々考えたわけだが、奇妙な映画だったと思う。正直相性が悪かったわけで、あまりどうこう細かく思慮することも無いかな、と思ってるわけだけど、DVDになったらまた確認してみようかと思った。

追記

最近、前に観た映画を急に思い出すことが多いです。

この映画って、もしかして「相米慎二監督リスペクト」入ってるのかな?

仲代氏らが訪れた先でのやりとりで、その室内でのやりとりを窓の外からロングショットで撮ってる演出とか、なんか相米監督っぽいような気がしてきました。

うーん。どうなんでしょ。同じこと感じた方いるかなあ。

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ちなみに新宿TSUTAYAに寄ったら「ヘヴンズ ストーリー」公開中の瀬々敬久監督の特集コーナー(これを追記しているのが2010/10/19)があって、「影響を受けた映画」だかなんだかのコーナーで、↓がありました。

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