最後の忠臣蔵(監督杉田成道)

新宿ピカデリー 座席位置前方中央

出演:役所広司 佐藤浩市 桜庭ななみ

評点=☆☆☆★★(70点)

この文章は結末まで触れてます。

僕は、忠臣蔵にあまり興味が無い。

何か「日本の冬はこれ!」みたいな感じで言われることもあるけど、実際関心ない。

主要人物と経緯と結末くらいしか知らない。「何が忠臣蔵じゃい」みたいな。天の邪鬼なのかな。

でもこれは後日談みたいなものだから。

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実は映画を観た後どうにもひっかかって、「曽根崎心中」を調べ直していたりしたため、観てからだいぶ経ってしまった。

複数の太宰治作品を巧く絡み合わせた傑作「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」の田中陽造氏の脚本なので、これも同じような作風と考えられるのだが、前作は「太宰治」というキーワードで繋がっていたのだけど、今回は違う。

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原作は未読なのだけど、原作の中にも繰り返し「曽根崎心中」が登場しているのだろうか?ただ、度々言ってるが映画と原作の比較をしないよう心がけているので、画面に観た映画のみで判断したい。

実際前半は物語と「曽根崎心中」が絡み合ってるように思う。実際可音の足が話に絡んでくるシーンでも、これはもしかしてちょっとした悲しい恋の方向になっていくのかと期待した。恐らくその方が、脚本家の個性は出るだろう。

しかし、基本的には忠義と誇りの物語に進んでいく。

一応言っておくと、ここは良い。感じ取るものがある。

けれど孫左の最期、その後にまた「曽根崎心中」のカットが入り映画を終えたので、???である。

途中から忠義と誇りの物語として展開していたのにこれは一体?心中は?

ここで絡んでいる「曽根崎心中」、意味がありそうで、実は意味ありげではあっても、それだけで、ちゃんと絡み合ってないと思う。いやそれ以上に、ラストにも使用するのはやはりひっかかる、

流麗な語り口と落ち着いた演出で魅力的な面のある映画だとは思ったが、ひっかかるところも残る映画だった。