「地獄でなぜ悪い」(園子温監督作品)

池袋HUMAXシネマズ

座席位置 前方中央

評点・・・☆☆☆★★★ 上出来の部類

偶然にも『甘い鞭』(傑作!)と二本続けて観たら「血みどろ映画二本立て」になりました。

以下、facebookに書いた文章を一部実名等を伏せ、一部加筆して掲載。

園子温監督『地獄でなぜ悪い』。これ、オレの大学の映画製作サークル出身の方は必見映画ですよ。”若き頃からの自主製作映画の思い”が重要なテーマになってますんで。自主映画製作集団の人間の中にオレと同じ苗字の名前のヤツがいて笑いました。オレの大学の映画製作サークル出身のみなさんはこの映画と、低予算・短期間撮影・室内限定撮影のお手本である大根仁監督の傑作『恋の渦』(何度でも言うけどDVD化の予定なし)はチェックしておいてください。

一時期デジタルのプロジェクターに関わる仕事してた人間としては、ミッキー・カーチス氏演じるフィルム映写技師に謝りたい気もする。そういうフィルム映画への思いをこめた作品でもあります。(ああ、これブログについに書いちゃった。フィルム映画ファンから怒られると思って隠し通してきたけど。ブログに載せるべきでは無かったかも・・・)
園子温監督が20年前に書いた脚本をもとにしてるらしく、映画雑誌「SPOTTED701」のレビューによると劇中に出てくる「ファック・ボンバーズ」というのは園子温監督が実際に名乗っていた集団だそうです。

園子温っつー監督は『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』のような過激・過剰な映画路線で一躍時の人となった感があります。オレは前者は大好きで後者はあまり好きじゃないんですけど。でも被災地で撮影した『ヒミズ』、原発事故を題材にした『希望の国』で、NHKにも出るくらいの監督に上りつめましたが、ネット上の映画ファンでは評が分かれた感。

地獄でなぜ悪い』は楽しかったです。上出来の部類。『愛のむきだし』を作った後の園子温監督じゃなきゃ出来ないような映画。はっきり言って支離滅裂な前半を強引な演出で観せ切る手腕は、それこそ『愛のむきだし』の前半を思い出します。最後、大活劇に昇華させたのも見事。

ただ、ちょっと洗練されてきちゃった感がして寂しい気もします。『愛のむきだし』の頃の良い具合のアンバランスさがちょっと懐かしい。

友人に聞いた話だと巧くすり抜けた経緯があるらしいですが、PG12指定ですけど本来ならR15指定になりますね、この作品。