アイアンマン

監督ジョン・ファヴロー
主演ロバート・ダウニーJR

☆☆★

この文章は「アイアンマン」「ロボコップ」「ダークナイト」の核心に触れてます。

2つほど映画レビューサイト(片方は「靖国」「パッチギ!」を絶賛したり「沢尻エリカ大好き!もっとやれ!僕はわざわざクローズド・ノート観に行ったぞ!オマエのために!記念にパンフも買ったよ!」とか書くと、登録メールアドレスに大量の熱いメッセージが届くと噂です)に登録してるけど、そこや他いくつかブログ見ていると世評は高いよう。

まあ満足したわけでもないから、書かないでもいいかなと思って放置していた。ヒーロー映画としては十分楽しめて、ロバート・ダウニーJRの好演も良かったので、もう少し点数をつけても良かったかもしれない。

序盤は良かった。大儲けしている武器商人(何か愛国者気取り)が、自分が作った武器がテロリストに使われていると知ることで、考えるようになるというところ。それをギャグっぽさと真剣さを上手く絡めていて。

でも何か、「善と悪の二項」って言えば良いのかな?何か妙に安易な気がして、引っ掛かってしまった。そういう映画は好きなんだけど、踏み込んだ題材に挑戦していると思っているため、少し中途半端な気がして残念だった。

テロリストが、主人公スタークと同じ会社の仲間に殺される点は良かった。僕の捉え方では、どっちも同様に悪党だというように取れたので。

ただテロリストがあんまりにあっけなくやられたりして「そんなー」とも思いながら。

最終的に、裏切り者の同じ会社の仲間とトニーが戦うわけだけど、まあ確かに悪党なんだけど、何かここが、善と悪の切り口があまりにも単純というか。それはまあテロリストも裏切り者の爺さんも悪なんだけど・・・そういうことじゃなくて・・・しかも、氷結がどうのこうのって、あの拍子抜けな決着の付け方は・・・まあ「争いごとなんてこんな馬鹿げたものだ」というのなら良いけど、だったらもっと突き抜けた感じでやって欲しかったかな。

最後絶対的正義な感じのヒーローになって終わるわけだけど、周りの求める形でヒーローになる。これもなあ・・・要望に答えたのかも知れないけど。

ダークナイト」は、バットマンことブルースが、「正義」とは何かを追い求めて、最後は「ヒーロー」の座すら捨てて正義の追求を貫き、「悪」のジョーカーも、無差別悪党だけど背景や人物像に想像の余地があって、デントも絶対に「正義」でありたいという信念を貫いていても、予想だにしないきっかけで化けてしまう恐ろしさがあったと、僕は捉えていたので、多分「ダークナイト」を先に観ているせいで、物足りなさを感じてしまったのかもしれない。「ダークナイト」のバットマンがあまりに魅力的過ぎて。

あと「ダークナイト」の病院爆破シーンとか、とにかく名シーンが多かったのもあるかもしれない。

どことなく敬愛するポール・バーホーベンの「ロボコップ」っぽいんだけど、まあ20年も前の作品なんだけど、マーフィーは悪党に殺された挙句に無理矢理ロボコップにされる。それで悪党に立ち向かう。ロボコップ誕生のシーンをロボコップからの目線で撮っていてその映像が忘れられない程とてもかっこよく、ロボコップのほうが悲劇が、悲劇が更に前面に出ている導入部で始まってその後の展開が楽しみになる作品だったなあと。あの拳銃の扱い方とか。最後のセリフが絶妙だった。

「ブラックブック」観賞時に久しぶりに再見したんだけど、DVDにインタビューが入ってて、バーホーベンのコメントが凄かった。当時から過激なこと言ってたんだなあ。魅力的な爺さんだ。

でも、かなり疲れている時に観てるからボヤっとしてる状態で、色々肝心な人間描写を逃しているかもしれないし、書いている今も酔っ払っていて、変に頭でっかちな観方してしまったなと思っているので、映画としては細かい部分にも配慮していて、テンポもいいし、主演の好演(ゾディアックでは凄い落ちぶれぶりだったのが、今度は大金持ち)も光る作品で、結構そういった意味では良い印象が持てて満足感も得れた作品でした。

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