エグザイルAKIRAの絆「ちゃんと伝える」

監督・脚本:園子温
出演:AKIRA 伊藤歩 高橋恵子 高岡蒼甫 奥田瑛二
撮影:上野彰吾
音楽:原田智英
配給:ギャガ

シネカノン有楽町

愛のむきだし [DVD]

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恐らく後世に語り継がれるんじゃないかと思っているK点超えの大傑作「愛のむきだし」の園子温監督。

新作です。

今さらこんなことを言うの変ですが、相変わらず良い意味で観る者に挑戦的(と言うと言い方が悪いのかな?)というか、ただボヤっとは観てられないような映画ですよ、鑑賞中一瞬も油断が出来ない。

個人的に、園子温横浜聡子西川美和諸監督の新作を観れたことは今年の収穫でした(園子温監督は二作、横浜聡子監督は「ジャーマン+雨」の再上映含む)。名前を並べると全く違うタイプの映画監督なんですけど、三者とも違う手口(?)で観る人間に対して挑戦的だよなあ、と思うんですよ。良い意味で。考えながら、想像しながら観ることを要求されている感じがするんですよ。他の映画を観る時と、ちょっと意識を変えてないといけないっていうんですかね。
(「ウルトラミラクルラブストーリー」は、ただただ奇妙奇天烈な映画として、感じながら観るというのもあるけど。)

それに「愛のむきだし」は確かに長いし、「ウルトラミラクルラブストーリー」はちょっと苦手な人を受け付けなさ過ぎてる気もする。「ディア・ドクター」は伏線がそのままはっきりされずに終わってると思うところもある。そういうひっかかるところもあるんですが、そういう難点を含めても、それ以上にひきつけられました。

この三人の監督がどうしてこんなに僕をひきつけるのか知りたいし、もっと「ちゃんと伝える」ことができるようになりたいと思いましたね。まああくまで個人的な感覚なんですけど。

前置きが終わって本題に入るんですけど、「ちゃんと伝える」も実際はいかにも園子温監督らしいと思わされた映画でした。

以前、若松孝二監督は最近の日本映画に関して「ガンで余命がどうこうとか、そんなご大層な映画撮ってどうすんだ」とか言っていたし、木村大作監督は「最近の日本映画は、人が病気になったり死んだりして、それがドラマになってるけど」とか言ってたし、まあだいたいそんな感じで語られる事が多い「難病もの」・・・とは全く思わない映画でした。ちなみに園子温監督は「余命もの」と言ってました。
というわけで、あらすじだけ読むと「え?園子温監督が?」と思ってはいたんですが、実際観ると確かに園子温作品だな、と。

物語の進行の巧妙さ。始めて園子温作品を観た人だったらアレ?って絶対思うんじゃないかという、会話場面の妙な空気(「愛のむきだし」は不思議とそれを感じる事が少なかったんですけど)。

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本音は、これ作ってたあたりの頃は凄い苦手だったんですけど。

↓あ、伊藤歩さんと言えば、去年のこの出演作品が素晴らしいです。

青い鳥 [DVD]

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9/22追記

そういえばこの「ちゃんと伝える」にも満島ひかりさんが出演しています。まあ、ホントにちょっとなんですけど。

MWAVEのずらずらら日記
伊藤歩 @ ちゃんと伝える
http://d.hatena.ne.jp/MWAVE/20090823

【映画がはねたら、都バスに乗って】
「ちゃんと伝える」:西大島駅前バス停付近の会話
http://blog.goo.ne.jp/ereninotabi/e/da34833bb6b058a38290ca29bdb9057c

シネマ親父の“日々是妄言”
「ちゃんと伝える」伝えるって、難しいね。
http://moricinema.exblog.jp/8886521/

シンジの“ほにゃらら”賛歌
伊藤歩が素晴らしすぎて死にそう「ちゃんと伝える」
http://runsinjirun.seesaa.net/article/126755161.html

みんなシネマいいのに!
「ちゃんと伝える」
http://cinemaiinoni.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-b87b.html

何か悪いクセで無駄にダラダラ長くなってきたんですが、最後に1つ気になったこと。核心に触れ気味なんで隠します。まあ未見の人でも読んで問題ないとは思いますけど。


振り返ってみると、物語の中でボロボロ涙をこぼすのが伊藤歩さん演じる恋人だけだった(はず)。違ってたらすいません。主人公が取り乱す場面はありましたけど。例えば葬儀屋役で佐藤二朗氏を出すような映画だし、作品自体には誰かが涙を流すような雰囲気を一切感じないのに。家族ではない人だけ涙を流してるんですよ。かなり気になりました。