ランニング・オン・エンプティ
現在池袋の小さな映画館でレイトショーでやってる映画。脇で大杉漣氏が出演しているけれど有名俳優は一人もいません。
いつもならまあスルーする映画ですけど、始めてチラシを手に取った時からちょっと観たいと思ってました。
なぜか。この映画が商業映画デビュー作品となる佐向大氏の名前に興味を持ったからです。
この映画が公開された年は傑作日本映画が多かったためかあまり話題にならなかった感じなんですが、「休暇」という映画がありました。
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小林薫氏演じる刑務官と西島秀俊氏演じる死刑囚をめぐるドラマで、刑務官がある理由で休暇をとるために死刑執行に立ち会う役回りを
つとめることになってから始まるというやや重いドラマなのですが、加えて仕事に携わるとは、家族とは、と絶妙に描いた秀作です。
佐向大氏はこの映画の脚本を担当していました。未見のひとはぜひ。
でまァ良い脚本が書けるからといって監督もつとまるかはわからないものですが、興味があったのです。
驚いたことに、笑うところなんてほとんどなかったようなドッシリした映画の脚本を書いていたのですが、この監督作はコメディでした。
小林且弥氏演じるとことんグータラなわがままダメ青年に腹を立てたみひろ嬢演じるキュートなお嬢ちゃんが、狂言誘拐を企てるという話。
そこに絡むのが「赤目四十八瀧心中未遂」そして若松孝二監督の新作「キャタピラー」に出演するという大西信満氏、そして杉山彦々氏。
これが所謂オフビートって感じなんですけど、ただでさえ万人ウケしないこの手法は、一歩間違うとさらに徹底的に退屈になる。
しかしこの監督がうまいのは、オフビートに徹しないところ。ところどころ、特に後半でややテンポを変えたりするのデス。
いや、ちょっと驚きました。後半とラストにちょっとしたどんでん返しがあって、人によっては結構びっくりものかも。
ちょっとどこかにあったような映画を、工夫と登場人物の魅力で少し新しくした感じ?
軸は四人で回るんですが、それぞれが好演。
ダメ人間に共感するような映画とはちょっと違う。
吉田大八監督あたりの作品が好きならイケるんじゃないかもしれません。ただ彼の作品ともまた違う魅力。
ただ自分としてはかなりの難点があって、いくら低予算映画とはいえかなりビデオ画質感が強い。
気にならない人は別にならないと思いますけど、自分はかなりそういうところを気にするタイプなんで。
観る場合はそこら辺を前もって理解していたほうがいいかも。
ただ「休暇」とは180度違うともいえる、思わぬ幅の広さを発見して今後期待。
採点は非常に悩みました。上記の点はひっかかるけど、満足度と興味をそそられた点もひっくるめて
採点=☆☆☆
池袋シネマ・ロサ
原題:ランニング・オン・エンプティ 日本映画
監督:佐向大
脚本:佐向大 小田泰之
撮影:月永雄太
主題歌:MISSILES
プロデューサー:大野敦子
公式サイト:http://roe-movie.com/
配給:アムモ