息もできない(ヤン・イクチュン)
渋谷シネマライズ
原題:BREATHLESS 韓国映画
監督・脚本・製作・編集・主演:ヤン・イクチュン
撮影:ユン・チョンホ
音楽:インビジブル・フィッシュ
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/ikimodekinai/
配給:ビターズエンド スターサンズ
点数=☆☆☆☆★★(ダンゼン優秀!)
なんでもインディーズ映画大流行という現象が起きたらしい韓国から、また大傑作。
実際はあのポン・ジュノ監督が絶賛という言葉にのみ惹かれ、どういう映画かも全く知らずに観賞。
監督・脚本・製作・編集・主演をこなしたヤン・イクチュン監督のデビュー作で、ひょんなことからヤクザ風情の男と女子高生が出会うことで始まるドラマだった。
実はこの映画を観た後、もう1作品観ようと予定していた。
出来なかった。この映画を最初に観たのは失敗だった。
決して大袈裟ではなく、物語が終わると同時に堤防が決壊したかのように涙が溢れてしまい、ハンカチで必死に抑えてなければいけなかったのでエンドロールも
観ていることができず、場内が明るくなってからも完全に放心状態。劇場出てからも足が少しガクガクしてしまって、目を真っ赤にしてシネマライズ2階の階段で少し座りこんでしまった。
次回上映を待ってる人たちの中には、「え!そんな泣ける映画なの!?」と思った人もいるかも。
「泣ける」とは言っても、観客を打ちのめすタイプの「ザ・韓国映画」作品だった。
実は映画自体、終盤になるまでピンとこなかった。
「ちょっと初期の北野武監督っぽいな。」「主演の人、良い顔してるなあ。」「ああ、こういう人いそう。」そんな感じで観ていて、観ながら実際「ポン・ジュノ監督そんなに気に入ったのかあ」と疑ってた。
この映画は、次から次へと出てきて魅了されてきた、僕が観てきた最近のどの韓国映画とも違っていた。
「シークレット・サンシャイン」とも「母なる証明」とも「チェイサー」とも「渇き」とも、どれとも全く魅力が違う。
なんで韓国映画は、こんなに個性的な傑作が続出するのだろう。
この映画、観ているうちに溜まっていく。
自然と映画が持つその痛みの連続のようなものが、知らず知らず溜まっていたのだ。
殴ったりする描写とか、韓国の言葉の「クソ野郎」とか。
街の風景とか、食卓とか、ヤン・イクチュン監督の顔・・・いや、良い表現を見つけたんでちょっと拝借すると、顔ではなく「面(つら)」とか。(注1)
物語から解放された瞬間に、溜まったものが溢れ出た。
変な感想を書いてしまったけど、「本気な映画観たなあ。」「こんだけ本気が伝わる映画観たから、もういいや」と思った。
もしこのブログ読んで、ノーマークだったけどちょっとでも気になったって人がいたら、スクリーンで観てほしいなあ。
「糞蠅」(注2)を、スクリーンで見上げてほしいな。
なんかうまく言葉にできなくて、変な文章しか書けませんでした。
もちろん現時点で、本年ベスト1
ヒロインのキム・コッピ嬢が、多部未華子ちゃんに似ているのもポイントが高い。
(注1)パンフに寄稿していた芝山幹郎さんの表現。良いパンフレットだと思った。購入。
(注2)映画の原題を日本語訳すると、こういう意味らしい。
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