プレシャス(リー・ダニエルズ)
日比谷 TOHO シネマズ シャンテ
PRECIOUS : BASED ON THE NOVEL "PUSH" BY SAPPHIRE アメリカ映画
監督:リー・ダニエルズ
脚本:ジェフリー・フレッチャー
製作総指揮:オプラ・ウィンフリー タイラー・ペリー リサ・コルテス トム・ヘラー
出演:ガボレイ・シディベ モニーク他
撮影:アンドリュー・ダン
音楽:マリオ・グリゴロフ
原作:サファイア
http://www.precious-movie.net/
配給:ファントム・フィルム
☆☆☆★★
幼いころから父親に虐待を受け、レイプされたことによって2人目の子供を身ごもっていて、かつ母親にはそのことで蔑視され冷たく当たられているニューヨーク・ハーレムに暮らす16歳の少女という、実際にあるような話とは言えこれ聞いただけでかなりの重量感を感じるような映画。
とは言っても、観る前にあまり調べないうえに普段劇場予告もちゃんと観てないタイプなんで、貧困層に暮らす大柄な女性が何かする話なのかな?くらいに思っていた。
なので上記に書いたような映画だとは全く知らなかった。なので映画観て、まずプレシャスの背景を描いていく序盤だけでビックリしてしまった。情報弱者だねえ。
前にも書いたかもしれないけど、観る前に本当に何も知らないでスクリーンに向かうことが多いので、設定だけで驚いてしまうことが多々ある。どうせ観るつもりならイチイチ調べておかなくてもいいかと思ってるタイプだから。メンドクサイから。
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加えてアカデミー賞にいくつかノミネートして助演女優賞とかを獲得していたことは知っていたけど、主演のガボレイ・シディベ氏がこの映画に出るまで演技経験がまるでなかったというのにも驚いた。観る前は知らなかった。しかも現在26歳だそう。まあ日本映画でも20代中盤くらいの男性が高校生を演じたりすることもあるけど。
加えてかなり怖くて憎々しい母親を演じているモニーク氏がコメディアンだというのも全く知らなかった。何となく本業は歌手かなあとか思ってた。「モニーク」って名前の歌手いそうじゃん?タバコ持って座ってる時の感じがミュージシャンぽいとか思ってた。まあ違ったんだけど。
毎年アカデミー賞授賞式前にニューズウィーク誌で「アカデミー賞座談会」があって、今年はそのメンバーにガボレイ・シディベ氏もいたんだけど、未経験者だったなんて書いてあったかなあ。
加えてマライア・キャリー氏やレニー・クラヴィッツ氏の名前が並んでたんで、「何か劇中に歌う場面でもあるのかな?」とか思ってたら、そういうこともなく普通にシリアスに演じ通していることにも驚いた。
レニー・クラヴィッツ氏が看護師助手を演じているんだけれど、ああいう「医療関係者に見えないタイプの医療関係者」って実際いるんだこれがまた、日本にも。僕もちょっと前に見かけた。
どうでもいいんだけど何にビックリしたかって、劇中で使われているテレビ。映画は1987年の話になってるんだけど、サザエさんの家にあるようなテレビだった。
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個性的な役者陣による演技合戦とストーリーだけが見ものなのかと思いきや、例えばプレシャスの空想のシーンや、学校の先生がどこか他の人物よりも美しく見えるように撮影されていたりとか、かなり作風に個性のようなものがはっきり出ている。
出来事が多い物語をそういったやり方で描いたり、そうかと思えば語りや俳優の長台詞でやったりするので、観ている間困惑してくたびれてしまったという点は否めず、作り方としてはあまり好きな部類ではないのだけど、ガボレイ・シディベ氏が役者として未経験だったという点などに驚き、加えて女優三人も見ものだった。女優三人とはガボレイ・シディベ氏、モニーク氏、そしてマライア・キャリー氏ではなくポーラ・パットン氏。
僕が観た時あんまり客入ってなかったけど、なかなか良い映画なんじゃないかなと思う。