オーケストラ!(ラデュ・ミヘイレアニュ)
渋谷 BUNKAMURA ル・シネマ
LE CONCERT フランス映画
監督・脚本:ラデュ・ミヘイレアニュ
出演:アレイクセイ・グシュコヴ メラニー・ロラン ミュウ=ミュウ他
撮影監督:ローラン・ダイアン
音楽:アルマン・アマール
製作:アラン・アタル
配給:ギャガ
☆☆☆★★★
「どこの国で作ってる映画かくらいは知って観に行けよ」、という話だけど、相変わらず「イングロリアス・バスターズに出演していたメラニー・ロラン氏が出演している音楽映画?」くらいしか知らずに観に行った。どうせ観ると決めたら前もって調べる必要など無かろう。時間のムダであるし、知らないことが多いほうが驚きに出会うことは多い。
本谷有希子さんが大絶賛していたのを知って観に行ったら、驚くほど混んでいた。どうやら連休前からやってるらしいのだけど。
最近シネコン以外でこういうことはよくある。「川の底からこんにちは」「クロッシング」「カケラ」「人間失格」あたりも僕が行った時はやたら混んでいた。まあ映画館が賑わうことは良いことだろう。
///
観始めた時は一瞬「ロシア映画?珍しいな」と思ったんだけど、フランス映画である。
30年間”ある理由”で活動の場を失っていた元指揮者が、急造楽団でもう一度チャンスを!しかし、そこには秘密が隠されていて、加えてあらゆるトラブルが・・・まあこういった感じ。
映画にはこれまでの暗い歴史や圧政に対する批判もこめられている。しかしそんなメッセージを伝えながら、物語は笑い飛ばしてくれ!と言わんばかりにひたすら陽気なコメディになっているという、そういうところはどこかエミール・クストリッツァ監督の映画っぽい?とも一瞬思う。
けれどそれを変化させているのは若き有能なヴァイオリニストを演じているメラニー・ロラン氏。
彼女が登場すると途端に映画が落ち着きを増して、どこかクールになる。まさに”クール・ビューティ”である。
クエンティン・タランティーノ監督「イングロリアス・バスターズ」はあまり好かない映画で、彼女にもそこまで惹かれなかったけれど、この映画で俄然気に入った。
///
芸術は現実を変えることができるか?芸術は暗い過去や現実をも吹き飛ばすことは可能か?それを乗り越えることはできるか?そんなことを考えさせられるような映画だったけれど、僕には、つき刺さった別のポイントがあった。
それはこの文章の題名にも書いた、冒頭で出てくる何気ないこんな台詞だ。
「音楽なんてネットならタダだ」
しかしこの物語は、その言葉とは逆の方向へ走っていく。
やっぱねえ、映画でも音楽でもなんでも、娯楽や芸術ってもんは、作ったりそれに関わってる人たちに対する思いをこめるといったことを常に大切にして、ちゃんとお金払わにゃならんぜ。それに映画館やら会場やらコンサートやらいろいろだけど、「そこへ足を運ぶ」ということに勝るものは無いのかもねえ。なんて思った。
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2010/05/12
- メディア: DVD
- 購入: 4人 クリック: 128回
- この商品を含むブログ (112件) を見る
- 出版社/メーカー: NIKKATSU CORPORATION(NK)(D)
- 発売日: 2010/01/29
- メディア: DVD
- クリック: 14回
- この商品を含むブログ (20件) を見る