グリーン・ゾーン(ポール・グリーングラス)
池袋 HUMAXシネマズ
GREEN ZONE アメリカ映画
監督・製作:ポール・グリーングラス
脚本:ブライアン・ヘルゲランド
出演:マット・デイモン他
撮影:バリー・アクロイド
音楽:ジョン・パウエル
配給:東宝東和
☆☆☆★★
ポール・グリーングラス監督・マット・デイモン主演の組み合わせによる新作。イラク戦争に関する大量破壊兵器の存在を追うという映画。
クリント・イーストウッド監督の秀作「インビクタス 負けざる者たち」で見事なほどカッコよかったマット・デイモン氏が、大量破壊兵器の存在を追うひとりの兵士を演じている。数年前のイラクが舞台だ。
正直な話「イラク戦争に関する大量破壊兵器の存在」という点には、個人的にはもはや全く興味が湧かない。なのでこの映画は他に見どころがあれば、と思って観に行った。
観る前に同じような感覚だったのが去年のオリバー・ストーン監督の「ブッシュ」だった。「知られざるブッシュ元大統領の面を描く」という映画だったわけだけど、結果「オリバー・ストーン監督はシニカルなコメディが出来ないんだなあ」と思った。かなり凡庸な映画だった。
要するに題材として、やや時期的に微妙になってる部分をもってる映画だという点で、どっちも共通してるわけだ。
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「グリーン・ゾーン」同様イラクの戦場を描いてアカデミー賞作品賞を獲った「ハート・ロッカー」は、小林信彦さんいわく「小隊ものの傑作」だ。
では「グリーン・ゾーン」はというと、やっぱりマット・デイモン氏がひたすら活躍する映画だ。そしてどちらも臨場感はあるけど同じ言葉でも全く異なる臨場感。
「ハート・ロッカー」は臨場感とラストが見事な映画だったと思うけど、少し動かし過ぎのキャメラと全体的に構成がおかしくないかい?と思う点があった。
ただ「グリーン・ゾーン」はその面は全く気にならなかった。
個人的には「グリーン・ゾーン」のほうが終始見応えがあった。
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戦場が舞台ながら、ひたすら観ていて楽しくカッコイイ映画になっていた。戦場が舞台なのにこんなに楽しくカッコよくて果たして良いのか?なんて悩んでしまうほどだ。
なんだか社会派的切り口の題材だからって、政治的な面ばかりを強調して語る映画でもねえよな、この映画は。そもそも映画っていうもんはそういった面以上に大事なことがあったりするもんだ。そんなことを思った。そのくらい楽しくカッコイイ映画だった。こういう映画もありだろう。
シンプルながらきちんとメッセージは伝えてくれるし感じ取ることもできた。矛盾した戦争に対する怒りもこめられている。ポール・グリーングラス監督はジャーナリスト出身だそうで、ラストは彼ならではのメッセージかなと思った。
けど戦場という、人間の生死がどこよりも大きく揺れ動いているといっていい土地が舞台なのに、汗臭さとか泥臭さだったりとか、とにかく戦争・戦場に関わる人間たちの身体にこそ帯びてる感覚とでもいうか、そういったものがあまり見えてこなかったのは引っかかった。安全地帯にいる人間たちは別として。
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