必死剣 鳥刺し(平山秀幸)
ユナイテッドシネマ としまえん
必死剣 鳥刺し 日本映画
監督:平山秀幸
脚本・製作:伊藤秀裕
脚本:江良至
出演:豊川悦司 池脇千鶴 吉川晃司 村上淳 関めぐみ 戸田菜穂 小日向文世 岸辺一徳他
撮影:石井浩一
音楽:EDISON
プロデューサー:江原信也
配給:東映
採点=☆☆☆★★★
藤沢周平氏原作時代劇。原作は未読。少し前には中西健二監督「花のあと」もあった。どっちも東映だなあ。
監督は「しゃべれども しゃべれども」の平山秀幸監督。とはいっても、九州地方で先行上映されているという「信さん 炭坑町のセレナーデ」が直近の作品になるのかなあ。
出演は「今度は愛妻家」のトヨエツさんや、もう今年観るのが3作品目になる池脇ちーちゃんなど・・・って池脇ちーちゃんを観て思ったんだけど、「スイートリトルライズ」の時は結構ふっくらしててしかも映画の内容にまで活かされていたけど、「パーマネント野ばら」とこの作品はそうでもない。撮影順はどうなっているんだろう?
どうでもいいことだけれど、ホントかどうかはわからないがちょっと小耳に挟んだこと。村上淳氏は名画座によくいるらしい。村上淳氏は僕がちょうど高校生くらいの頃にファッション・リーダー的な存在だったなあ。
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この映画は秀作だと思う。不条理劇の様相なんだけど、かなりの本気度、平山監督の時代劇愛と作劇センスがヒシヒシと伝わってくる。是非映画館で観てほしい。本当に”平山名人”と呼びたくなるほどだ。
キネマ旬報の表紙には「これぞ時代劇」と書かれているが、個人的には「これぞ映画」または「これぞ日本映画」と感じさせられる丹念な演出・撮影が細かく仕込まれていると感じた。上っ面の物語でごまかして「映画的」なものが微塵も感じられない弱っちい日本映画、グダグダで完全に物語が崩壊した日本映画に出会って、イラっとするなんてことはありませんか?僕は結構あります。そんな中、映画館でスクリーンと対峙して存分に愉しむべき映画なんじゃないかと思った。
大立ち回りもさることながら、細かい仕草、絶妙の緩急、挙げたらたくさん出てくるけど、とにかく丁寧で真摯な映画的演出と撮影で溢れている。俳優陣もみな良い。
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まさに、競輪選手の太腿の筋肉のように太く引き締まっている映画だ。
そして時代劇として、奇跡の体脂肪率0%。糖質オフである。
とことんスマートで、上品で、静かに静かにストーリーを進めた後に、最後に極上の映画的興奮に満ち溢れたラストを用意している。溜めて溜めて、出す。
そして絶妙の匙加減で、観ている人に「問い」も残してくれる。寡黙な男を好演するトヨエツさんが効いている。
池脇千鶴ちゃんは、以前とはタイプの違う女優になった。良い女優になったなあ。現時点で今年のマイ・助演女優賞。
吉川晃司サンのカッコよすぎなくらいなカッコよさも◎
今年は時代劇が目白押しだけど、今時代劇を観ることに対して、今後のハードルが上がった。ちなみに大ヒット作「告白」に負けない出血映画でもある。
好きな映画だ。
↓「必死剣 鳥刺し」が表紙のキネマ旬報最新号、「映画の妻たち」特集に、僕が書いた文章も載ってます。もし良かったら一読していただければ、と。
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