ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う(石井隆)
シネマート新宿
ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う 日本映画
2時間07分
座席位置:二列目真ん中
監督・脚本:石井隆
撮影:柳田裕男 寺田緑郎
美術:山崎輝
音楽:安川午朗
配給:クロックワークス
好感度点数=☆☆☆★★★
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※ちょっと内容に深く触れた文章です。
「17年目の続編」というのもなかなか珍しい。
コンスタントに映画撮ってる石井隆監督ですけど、正直「なんか懐かしい」と思いました。
何でかというと、学生時代に「GONIN」をビデオで観て、当時所属していた映画制作サークルで、まあなんかあの映画とかに影響されちゃった感じの映画の脚本を書いたんです、撮らなかったけど。
ここのところはずっと観てなかったです。
そういや「GONIN」って、あの奥山和由氏製作でしたよね。金子修介監督最新作「ばかもの」の予告が流れてましたが、奥山氏がプロデュースしてるそうです。
どうでもいいけど、「石井」という苗字の映画監督って結構多いですね。石井輝男監督、今は改名したらしい石井聰亙監督、石井克人監督に石井裕也監督、カールスモ―キー石井氏も映画監督の経験があります。混同しないようお気を付けください。
ということで久しぶりに観ました、石井隆監督作品。
あらすじはそれほど混み入ってません。何でも代行屋紅次郎(竹中直人)の下にとある美女(佐藤寛子)から依頼があるけどその依頼には裏があり、その美女と共にいる2人の女性(大竹しのぶ・井上晴美)とある男性(宍戸錠)、さらにポン引き(津田寛治)が加わっていくことで、紅次郎は次々と不運に巻き込まれる。さらには警察(東風万智子)が・・・紅次郎どうなる!?と、ざっとこんな感じ。
こう書けば、石井隆監督ならではの「何でも代行屋」がオリジナリティに溢れてるくらいで、ありがちなサスペンスにみえます。
しかし、そこに入り込んでくるテーマが妖しげ。公式サイトにあるように紅次郎は”性善説男”で、映画の中には近親相姦、終盤にはSM(ひとりSM?)を想わせる描写があったりで、なかなか想像力を掻き立てられます。
加えて出てくる人間が(ひょっとすると語弊のある言い方かもしれないけど)極端な人間ばかりで、極端な人間たちが極端な行動を展開し続けたり、そのせいもあって極端なことに出くわし続けます。かろうじて「共感」できる要素がみえたのは、女刑事くらいかな、僕の水準だけど。
こういう人間だって、いるかもしれないから。
いや、それ以上にこの映画、随所にやたら脳裏にこびりついてしまうようなシーンが出てくる。
映画が始まった瞬間いきなり背後から刺し殺し、すぐさま風呂場で死体解体!いきなりこれ。
正直怖がらせるような描き方では無いです。というか、いきなりなので目を覆うどころかビックリして凝視しました。風呂場で死体解体ということで平山秀幸監督「OUT」を思い出しました。
車内でポン引きをぶっ殺すシーンもじっくり描いて、同様の車内のシーンで、ポン引き殺害シーンとリンクしている紅次郎の夢による、紅次郎とれんのオイル塗ったくるあの場面。
このふたつの場面が醸し出す妖しさはハンパじゃない。
登場シーンの半分は全裸だったんではないかと思う佐藤寛子氏は、これはなかなか良い。いきなり刺し殺す井上晴美氏もエライ狂いようだけど、とかく大竹しのぶ氏は輪をかけて凶悪。ラストを締めくくる東風万智子氏も含め、女優陣が輝いています。
前半が結構展開がわかりづらい箇所があったり、終盤のひとりSM描写も?だったり、僕は前の方に座るので気にならなかったけど全体的に暗い場面が観づらい気もしなくはないけど、「良い」とか「悪い」を別にして、何か好きな映画です。
というか、映画館で向かい合うことで凄味が増す映画だと思いました。映画館だと途中で止めることはできないですからね。それだけ強靭な見せ場を作ってる映画だと思いました。
島田荘司先生の傑作「暗闇坂の人喰いの木」をもし今映画化するならば、石井隆監督にやってほしいかも。
- 作者: 島田荘司
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竹中直人氏は、夢は“ダーク寅さん”シリーズ化!…「ヌードの夜―」と言ってます。良いね。やってほしいです。
竹中直人、夢は“ダーク寅さん”シリーズ化!…「ヌードの夜―」
http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/gossip/cinema/news/20100925-OHO1T00108.htm
独立した物語なので17年前の前作を観ていなくても問題ないですけど、観たい人は東京では銀座シネパトスで石井隆監督特集やってます。