「もらとりあむタマ子」(山下敦弘監督作品)

新宿武蔵野館

座席位置 最前列中央

評点・・・☆☆☆★★★ 上出来の部類

以下、facebookより転載


過日、山下敦弘監督『もらとりあむタマ子』を観ました。

山下監督は個人的に日本実写映画で最も信頼してる映画監督です。今回は『マイ・バック・ページ』以来の盟友と言える脚本家、向井康介さんとのタッグです。上出来の部類。「山下作品にハズレ無し」の「オレ的法則」は未だに健在でした。

もともとは音楽チャンネルの映像としての製作だっだそうですが映画化に発展したそうです。

主人公は、山下監督の『苦役列車』にも出演した前田敦子さん演じる坂井タマ子。タマ子は23歳で、甲府の実家のスポーツ用品店で父親と二人暮らし。

タマ子は大学を卒業しても就職しようともせず、実家で食べてばかり、寝てばかり、マンガ読んでばかり、ゲームしてばかりで、父親に「就職しないのか」と言われても、逆ギレ。そんなタマ子の1年を描きます。

前もって言っておくと、「劇的な展開」のある映画を期待して観ないほうが良いです。正直、「この物語、この展開で劇場に笑いを起こしてしまうのは凄いなあ。」と感心しました。絶妙にビミョーな間合いで見せ切る話術、演出こそ素晴らしいです。

そして観てる間にいつの間にかタマ子が鏡映しのように自分に投影されます、

「社会の底辺」とか「片隅の青春」を語らせて、現代日本映画界で山下敦弘監督の右に出る者はいないんじゃないんかと、改めて思います。数年前まで、ご立派に生きてらっしゃる方々が観たら眉をしかめる程だらしない人間を、前田敦子さんが演じるとは、誰が予想したでしょう。

ちなみにオレも大学卒業後1年間プータローでした。ただオレの場合大学の成績が悪過ぎて4年生になっても必死に授業出なければならず、卒業してから慌てて就職活動したんですけど。

山下監督にはずっと青春映画を作って欲しいと思います。